利益増進を最大化するためには、成果を出しているグローバル企業が全ての地域、部署、パートナーに戦略的革新に対する完璧な貢献を確保してもらう必要がある。このアプローチは「ブルー・オーシャン戦略」としてW.チャン・キムとレネ・マウボーンによって説明されている。そして、それは似通った商品を薄利大市場で価格競争するとして説明されることがある「レッド・オーシャン戦略」の反対とされている。ブルー・オーシャンの成功を掴むために企業がしなければいけないことは1.潜在的顧客に合うより良い効果的な対策を提案する、2.なぜこれらの対策に比類ない価値があるのかを、明確に、そして説得力のあるように利益ある値段で売る、3.時間とコストを削減する一方で価値は増加させる、ということである。

 

日系企業は、3つ目のポイントにおいてはボトムアップの「改善」(継続的改善)という仕組みのおかげで優れている。最初の二つは、文化的背景により、成功している西洋相手には比較的劣る。特に日系の「高コンテクスト」なコミュニケーション方法はむしろ抽象的で不明瞭となる。顧客を上位として、自分の地位を下げてコミュニケーションをするような「不平等の演出」方法では、日本人は競争相手ほど積極的に自分たちを売り込めない。そして「孔子的」価値感は、相手に質問をしたり助言をもらう代わりに、顧客に対して謹んで接するようにしてしまう。最後に、彼らは顧客満足度を確実なものにするため、重要な関係を危険にさらすことは避けるでしょう。例えば、顧客が要望するよりも高質な仕様を提供したり、無料サービスを余分に提供したりといった方法を使う。端的に言うと、彼らはグローバルな相手と比べて出費が増え、不利になる。

 

例えば、典型的な米企業は「ブルー・オーシャン」(競争相手がいない新たな市場)において成功を収めることを優先するでしょう。革新的な商品を持って市場の一人者となり、強固で積極的なマーケティングをし、認知度、需要そして売上を増大させるという方法を使うことによって成功させる。高速市場を獲得するために彼らは「検証に必要な最小限の機能を持った商品」を、最大需要であるアーリーアダプターに売り出す。彼らは、独自な商品機能を楽しむためなら高額を支払い、クオリティやその他のことは見逃すだろう。

 

短絡的にアメリカは質80%でも、営業とマーケティング力で110%で売り出す傾向があると言えるだろう。結果、低コストで高利益という有益な組み合わせを提案する。一方で、日本は国内顧客の高基準によって質は110%でも、営業とマーケティング力は80%、といった傾向にある。高コンテクストで謙遜するスタイルのため、対策を提案したり、独自の商品価値を説明するということが本質的に下手である。明らかに低品質・高売上が、高品質・低売上よりも常に高利益(少なくも短期間において)である。

 

日本人はよく最初のスキルである顧客ニーズに答えるということが、西洋と比べて劣る。日本で慣れ親しんでいる高コンテクストな慎んだ対話方法では、ニーズを聞くというよりも推測することが必要とされる。また、彼らは海外の現地スタッフに、本社に市場ニーズ情報を提供するように教えている。つまり、影響力あるリーダーとの関係性の構築、自我のないチームワークと国境や部署を越えた相互的情報共有の提供が必要となる。日本のビジネスは人間関係が基盤であるため、ただのデータ提供や論理的要求よりも経験や関係性に影響力が偏る。審査される要求よりも要求している人が重要である。

 

レッド・オーシャン市場における低い売上・利益は、値段競争の結果かもしれない。なぜなら顧客は商品の独自の利益とROI(投資的効果)を理解していないことで起こるからである。受身的にハイスペック商品を提供するよりも、企業は活発的にニーズを聞きとり、特別な総合的対策を提案することでよりお金を儲けられる。この「ソリューションセリング」的な方法では、迅速な信頼関係を構築することが必要である。例えば、インフォーマルで友好的な空間で、賢く有効な質問やブレインストーミング、ニーズの確認をする。また、なぜあなたのソリューションが最適であるのか、というポジティブな説明をする。

 

グローバル企業は、売り上げ交渉を数日や数週間で完成させることを目指す。しかし、日本企業は短い時間での意思決定を好まず、グローバル的には不適切である。日本人のコミュニケーション方法は、謙遜や親切、正しい情報と正しい英語を言おうとしているだけで、グローバルビジネスに必要である迅速な信頼構築はできない。むしろ相手と互いにゆっくり数年かけて知ってく国内ビジネスに適切である。そうすれば、その後ビジネスをwin-winで何十年も共にするかもしれない。

 

興味深いことに、日本企業はむしろレッド・オーシャン市場の高品質部分で成功するのが上手い。利益は低いかもしれないが、キャッシュフローはよく、トップの地位は自然に得られる。国内顧客の終わらない厳しい要求に応えるために、カイゼンによってこれまで以上の品質の商品を作るからである。高技術商品や機械機器を含むB2B産業では、余分に加えた質が消費者への商品価値を倍化するため、日本は比較的上手く出来ている。

 

(中には例外がある。LCDテレビといった産業はコモディティ化されすぎていたり、高すぎる技術投資が要求される)

 

成功している日本企業は、グローバル競争企業より優勢になるために、よく私が呼ぶ「パープル・オーシャン戦略」を使用する。これは、日本のチームベースなビジネスモデルにおける三つの典型的な強みを基にし、より大きく長期的な成功をつかむためにブルーとレッドオーシャン戦略を混合しているものである。1.全組織的なチームワーク, 2. 改善 (全てのステークホルダーによる継続的な改善) そして3.長期的なwin-winパートナーの存在

 

LGSは、典型的な日本企業を「アメーバスタイル」(柔軟な全組織的なチームワーク)としてグローバル「テトリス」(全ての仕事・責任が、明確に個人に配分されている)組織と差別化している。既存のレッド・オーシャンの中心的な作業とブルー・オーシャンの新商品を区別しなければならないテトリス組織と違って、日本のアメーバ企業は、共有された問題解決方法と互いに助け合うスタッフ間のアイデアの共有という二つを融合させることで、成功の可能性を上げている。

 

さらに、日本従業員はどんなレベルでも、顧客側からのイノベーションに導く改善(断続的改善)をする傾向にある。時が過ぎる中で、これらの考えがますます実施されることで、商品やサービスは新しい商品へと進化する。また、これらの“エンドユーザー・イノベーション”という考えは、同じまたは異なる商品カテゴリーか産業への、新たな商品へと発展することもある。それは未だ競争相手が持たない「ブルー・オーシャン」商品を売り出す可能性を持つ。一方で、「テトリス」組織は従業員が職務明細書の範囲内である目的にのみ集中することを期待されているため、文化を越えて革新を促進することはないだろう。「アメーバ」ビジネスモデルの中のみ、日々の革新が起こり得る。

 

最後に、「アメーバ」組織は、数十年継続する長期的にwin-winな関係を作ろうとする。「ギブ・アンド・テイク」、相互に有益戦略、情報共有、そしてベンダー従業員が顧客、あるいはパートナー組織の中に配属され、配属期間は彼らの一人として働く“出向”もある。

 

この長期的親交姿勢を活用することで、日本組織は信頼ある市場シェアリーダーと組み、超過投資をかけず、複数の市場や産業へ「ブルー・オーシャン」の商品を売り出すことを可能にする。

 

例えば、トヨタの 「レクサス」は、新たな「お手頃な高級車」という区分をアメリカ市場に独自に作った海外広告代理店との深い協力により「世界一の車」となるためにデザインされた。

 

ポケモンゴーは、googleのスピンオフ会社であるNiantic Labsと協力していた任天堂が、ジオマッピングのプラットホームを任天堂のゲーム知識と融合させて開発された。それぞれのケースでは、「アメーバ」企業のコンテンツや専門領域が、組織規模の情報共有、改善により、価値が増幅されている。

 

それは、レッド・オーシャンと新たなブルー・オーシャンの間で行われているのだ。

 

「パープルオーシャン」は、多様な手段によって日本企業に実施されうる。

 

中にはプロジェクト後の「反省会」や、問題解決のために複数の役割の生産メンバーが集まる「クオリティ・サークル」といった典型的なものもある。その他の手段としては、違う部署のスタッフが互いにランチで社交的になったり、一緒に事実上プロジェクト参加したり、普段ブレストをしないようなメンバーがブレインストーミングし、考えを上げやすいようにソクラテス的と孔子的を融合した「混合的」会議を手伝ったり、といったものがある。

 

最後に、リスクを背負う人を称賛したり、起業家精神を持っているチームへ明確なインセンティブを示すことだけでも効果はある。

 

「オープンイノベーションハブ」を作っているフジフィルム、花王ホールディングスの、未完成のアイデアを共有する「たたき台」会議などが好例である。

 

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